将来の家族や親族に負担をかけずに、自分の死後も安らかにお墓を管理してもらいたいと考えている方々。
「永代供養を遺言に書いておけば、確実に実現してもらえるのか」そんな疑問をお持ちかもしれません。
この疑問に対する答えは、残念ながら「遺言に永代供養を記載しても、法的な効果はない」ということです。
□永代供養を遺言に書いても法的な効果はない
遺言に永代供養を記載しても、法的拘束力はありません。
なぜなら、埋葬方法は遺言事項ではないからです。
遺言書は、財産や相続に関する事項を定めるためのものです。
そのため、お墓の管理方法や埋葬方法といった、財産とは直接関係のない事項は遺言事項として認められないのです。
□永代供養を確実に実現するための3ステップ
では、希望する永代供養を実現するためには、どうすればいいのでしょうか。
遺言ではなく、生前にしっかりと意思表示をすることが重要です。
*希望の永代供養先を検討する
永代供養には、様々な場所や方法があります。
漠然と「永代供養にしてほしい」と言われても、残された家族は戸惑ってしまうかもしれません。
そのため、ご自身で希望する永代供養先を事前に決めておくことが大切です。
*生前に相談する
永代供養は、自分だけで決めてしまうのではなく、実際に手続きをしてくれる人と相談することが重要です。
1:家族は永代供養を望んでいないこともある
「後世に迷惑を掛けたくない」という気持ちから永代供養を選ぶ方もいるかもしれませんが、家族にとっては、大切な家族が合葬されてしまうことに抵抗を感じる場合もあるかもしれません。
家族がいるのであれば、事前に相談し、家族の気持ちも理解した上で決めるようにしましょう。
2:確実に実現してもらうため
永代供養を希望していても、その旨が家族に伝わっていなければ実現できない可能性もあります。
遺言書を見る前に、他の方法でお墓が購入されてしまう可能性も考えられます。
そのため、少なくとも手続きをしてくれる家族には、事前に永代供養の希望と、希望する場所を伝えておくようにしましょう。
*遺言書の付言に想いを書いておく
付言とは、遺言書に書き添えるメッセージのことです。
法的な拘束力はありませんが、遺言者本人が記したものであることは推定されます。
・親族の中に永代供養に反対しそうな人がいる場合
・生前に永代供養を伝えていない家族がいる場合
このような場合は、遺言書の付言に永代供養の希望を記載しておくことをおすすめします。
これは、手続きをする人が、他の家族から「独断で行ったのではないか」と責められるリスクを防ぐためです。
遺言書の付言に書いておくことで、亡くなった方の希望であったことを明確に示すことができます。
□まとめ
遺言に永代供養を記載しても、法的効果はありません。
希望する永代供養を実現するためには、生前に家族と相談し、希望する永代供養先を決め、遺言書の付言に想いを記しておくことが重要です。