近年、お墓の継承に関する問題が多く取り沙汰されています。
例えば、「居住地などの問題で長男がお墓を継承できない」「長男がお墓を継ぎたがらない」などといったことが挙げられます。
従来の慣習では、お墓は長男が継ぐことが一般的ですが、それができない場合はどうなってしまうのでしょうか。
今回は、お墓の継承に関して、長男がお墓を継がないケースをご紹介します。
お墓の継承についてお困りの方は、ぜひご覧ください。
⑴ 長男がお墓を継がない選択は可能？
結論から言うと、長男がお墓を継がない選択は可能です。
一般的にはお墓は長男が継ぐものと考えられていますが、あくまでそれは慣習であり、法律などによって定められているものではありません。
そのため、長男以外の子供がお墓を継いだとしても、何の問題もないのです。
そもそも長男がお墓を継ぐという考え方は、明治時代の終わり頃から普及したと言われています。
こうした考え方を含む制度は「家制度」と呼ばれていますが、この制度は現在では既に廃止されているため、そういった点からも、「長男以外がお墓を継ぐのは良くないのではないか」と心配する必要はないと言えます。
⑵ お墓を継がない場合はどうなる？
① 他の人に継承してもらう
前述した通り、必ずしも長男がお墓を継ぐ必要はないため、長男が継承できない場合は次男次女や三男三女に継承してもらうのが良いでしょう。
あるいは、子供がお墓を継承できない場合は、家族以外の者がお墓を継承するケースもあります。
意外に思われるかもしれませんが、お墓は家族以外の者が継承しても法的に問題ないのです。
被相続人が指定していれば、血のつながりのない親戚や友人など、親族外の人でもお墓を継承できるため、家族内で継承する人がいない場合は早めに考えておくと良いでしょう。
② 永代供養墓に移す
永代供養墓であれば、親族が自らお墓の管理や供養をしなくても、施設の人がそれらを代わりに行ってくれるため、お墓の継承に関する多くの問題を解決できます。
永代供養では一定期間を過ぎると遺骨が合葬墓に移される（他の人の遺骨と同じ場所に埋葬される）ため、その点には注意が必要ですが、お墓の継承にお困りの方にとっては良い解決策となります。
③ 墓じまいをする
お墓を継承する人が見つからない場合は、墓じまいをすることになります。
お墓を継承する人がいないにもかかわらず墓じまいをしないとなると、そのお墓は無縁墓となってしまうため、墓じまいは必ず必要な手続きとなります。
墓じまいをした後は、遺骨を永代供養墓に移すか、あるいは散骨する方法もあります。
散骨を行う場合は業者に依頼をして、多くの場合、海に散骨することになります。
ただし、散骨については法律が曖昧な部分もあるため実施の際には十分に注意しましょう。
❖ まとめ
今回は、長男がお墓を継承しないことの可否と対応について解説しました。
長男がお墓を継承しないことには、法的になんの問題もありません。
ただし、その後の対応をどうするかは慎重に考える必要があります。
「他に継承してくれる人はいるのかどうか」
「墓じまいをするとして、その後どうするのか」
こうしたことの対応を明確に考え、きちんと対処するようにしましょう。
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